金堂のほとけさま

国宝 薬師三尊像

 薬師寺のご本尊である薬師三尊像です。金堂では国宝・薬師三尊(薬師如来・日光月光(がっこう)両菩薩)がお祀りされ、我々の健康を護って下さっています。薬師というのは阿彌陀さまや観音さまと同様に国民のあいだに広く信仰されていますが、西の極楽浄土の仏さまが阿彌陀如来で、東の浄瑠璃浄土の仏さまがお薬師さまということになります。文楽の浄瑠璃はこの薬師如来の徳を讃嘆したところから発生したものです。

 薬師のあいだに「剤」という字を入れれば薬剤師となるようにお薬師さまは薬の先生です。応病与薬の本尊として病気に応じて薬を与え、また私たちの健康を維持してくださっているのが薬師如来なのです。天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気が治るようにという祈りをこめて薬師寺の創建を発願されたのもそういう理由からです。そのため、薬師如来はまたの名を医王如来ともいわれています。健康な体に健康な精神が宿るといいますが、健康というのは体の健康だけではありません。心の健康をも含めて、年に一度や二度は謙虚な気持でお薬師さんの前で掌を合せたいものですし、どうあがいても逃れられない病気・特に心の病も意識したい所です。

 仏の世界は、大きく分けると如来と菩薩の2つの区分から成り立ち、目的に到達し、悟りを開いた中央の如来と悟りをまだ開いていない両脇の菩薩との違いが、着ている衣裳から判別できます。菩薩の姿がきらびやかであるのは人間の外見や姿・形にこだわる気持ちを表しています。

 また仏の結んでいる手の形も目を引きます。右手は施無畏印(せむいいん)、左手は与願印(よがんいん)です。右では、「私は特別優れた人間ではない」「私は何もできない」というお釈迦様も人間から出発したのだということの表明です。左では、「私は何でもでき得る限りのことはしよう」という事(何でもやれるということではない)の表明です。仏の世界は我々とは無関係な世界であるように思うが、決してそうではない事が示されています。我々は仏の境地に住することができることを仏の姿から伝えて頂いているのです。

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