世界遺産 法相宗大本山 薬師寺

修二会 花会式しゅにえはなえしき

修二会とは奈良の大寺が国家の繁栄と五穀豊穣、万民豊楽などを祈る春の行事です。修二会とある通り、この法要は2月に行われるのですが、薬師寺の場合は旧暦の2月末に行われていた事から、そのまま新暦に直して3月25日から3月31日にかけて行われています。東大寺の修二会に「お水取り」という俗称がついたように薬師寺修二会には十種の造花がご本尊に供えられるところから「花会式」と呼ばれ、「奈良に春を告げる行事」として親しまれています。花会式(修二会)に参篭する僧のことを「練行衆れんぎょうしゅう」と言い、最終日の3月31日の夜には「鬼追式おにおいしき」が法要の結願けちがんを飾ります。

花会式の歴史

修二会花会式の中心は、薬師悔過けか法要です。この法要は奈良時代から続けられています。 造花の起源は、嘉承2年(1107)に、堀河天皇が皇后の病気平癒を薬師如来に祈られ、その霊験を得て病気が回復しました。翌年、皇后は女官に命じて10種類の造花を作らせて、薬師如来の御宝前に供えられました。以来毎年造花を供えて修二会をするようになりました。これが『花会式』と呼ばれる華やかな法要の始まりです。

花会式(修二会)の法要

花会式では1日で初夜しょや半夜はんや後夜ごや晨朝じんじょう日中にっちゅう日没にちもつの合計6回の法要があり、六時の行法と呼ばれます。十人の練行衆と呼ばれる僧は不休で法要を行います。
初夜と半夜、後夜と晨朝、日中と日没のように、1度の入堂で2回の法要を行います。
中でも圧巻なのは午後7時からの初夜・半夜の行法です。

薬師悔過

悔過とは、人間が自覚・無自覚の内に作ってしまった様々な罪を反省し、より良い生き方に改めるということです。薬師如来に対して悔過の行法を行うため、「薬師悔過」と呼ばれます。
薬師悔過のお経は朗々とした節回しであるかと思えば、ある部分では非常に大きな声を張り上げ、絶叫とも言って良いほどの声で読経することもあり、非常に変化に富んだお経です。
練行衆の中から、その法要ごとに導師が選ばれ、薬師悔過を先導します。時導師は一節ごとに立って薬師如来に礼拝しながらお経を唱えます。
堂内参拝者にも経本が配られ、僧侶と一体となってお経を唱える様は「満堂悔過」と評されます。

大導師作法と咒師しゅし作法

薬師悔過が終わると時導師に代わり、大導師が薬師如来の前に進みます。「大導師作法」の始まりです。大導師作法では落ち着いた節回しで諸仏を賛嘆し、修二会のもう一つの主旨である、国家繁栄・五穀豊穣の祈りが捧げられます。
初夜・半夜の大導師作法の中では並行して「咒師作法」が行われます。咒師は、密教の作法を司る役で、大導師による祈りが外敵に妨げられよう、結界を作り堂内を護る作法を行います。
灯りが落とされ堂内が一段と暗くなると、法螺貝・太鼓・鐘が鳴り響きます。真剣を両手に持った咒師が現れ、堂内を疾走します。刀で天地の悪を切り裂く作法です。
このような法要を7日間続けるのです。

結願けちがん鬼追おにおい式

修二会花会式の最終日、結願には様々な儀式が行われます。
初夜の法要の前に咒師が神々を勧請し、練行衆が松明を放り投げて神々に捧げる「神供」が行われます。
結願の法要ではいつにも増した大音声での悔過が唱えられ、大導師からは最後の祈りが捧げられます。咒師は護摩を焚き、その祈りを諸仏に届けます。
そして、金堂の前で「鬼追い式」が始まります。松明を持ち激しく暴れまわ鬼を薬師如来のお力を受けた毘沙門天が鬼を鎮めるという儀式です。鬼は煩悩の象徴であり、薬師悔過の罪を反省し、良い生き方に改めるという主旨を視覚的に表したものとも言えます。

造花作りと飾り付け

花会式には約1600本の和紙で作られた造花が供えられます。

現在、造花は奈良市内の2軒の家で代々作り続けらています。一つひとつ手作りで、紙は薬草などをを用いて染め上げられます。

23日にお身拭いが終わると、堂内の荘厳が始まります。
造花は10種を12鉢に、一本ずつ定められた形に飾り付けていきます。
造花を飾り付けるのは、全国から高校生~大学院生を対象に募集する「青年衆」です。